蛇形

標準

記念すべき第一回の「精花太極拳 ソレイユの会」は、いつもの生徒さんが一人。それでも、初めに別の場所で教室を開いた時は、生徒さんがしばらく「0」人でしたから、一歩前進かもしれない。ありがたいことである。

教室の内容とは言えば、記念すべき精花太極拳専門クラスの第一回目でありながら、生徒さんが「精花太極拳のホームページに書いてあった、蛇(形意拳の蛇形)って、どんなのですか?」という質問から、蛇形の練習になってしまった。

ホームページに書いてあった蛇形とは、弟子が亡くなるほんの少し前に、歩行が困難になり始めた時のこと。歩くリハビリがてら六階の病棟内を散歩する時に、形意拳の蛇形でさりげなく練習したエピソードのことである。

「ああ、蛇?こんな感じだよ。」

質問されて嬉々として自分が無意識のうちに見せたのは…小さな歩幅でゆっくりゆっくり歩く姿だった。手だけが少し奇妙な動きに見えるだろう。

「こうすると、全く体に負担をかけずに歩けるんだよ。歩くときに筋肉がグッとくるのがないから、痛みを引き起こすこともないんだ」

そう言いながら、しばらく二人で練習していると生徒さんが何をどうやっているのかと、戸惑いの表情をしているのに気づいた。いけない、そう言えば本来の蛇形を見せていなかった!

本来の蛇形を見せたら、初めて生徒さんが「おおっ、これが蛇か」という表情をした。

「そう、この練習をしてたんだ。単に体を動かすのが目的じゃない。ちゃんと明日に繋がる、(技を)一歩前進する為の練習だったんだよ。」

自分のとっては弟子と一緒に散歩した時の蛇形が、自分の蛇になっていた事に笑ってしまった。

そして後になって泣けてきた。

あの時、自分と弟子が歩んでいた一歩は、こんなにも小さな小さな一歩だった。

でも、前を目指して歩んでいた。

「…最後は体が動かなくなって、片目しか残らなかった時…。それでも目に気持ちを込めるという我々の包拳礼をしていたんだよ。」

そんな話をした、第一回目の教室だった。

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